ローマ数字でスタンダードコード進行を分析してみよう

ローマ数字でスタンダードコード進行を分析してみよう

ジャズギター基礎知識編第16回目になりますので
ここで、ローマ数字で
簡単なスタンダードコード進行の一部分を分析してみましょう。

スタンダードナンバーは
枯葉の前半8小節のコード進行を分析します。

たった8小節ですがこの8小節だけで
ジャズ初心者のアドリブ練習に最適なコード進行が詰まっています
この8小節をしっかり弾くことができるようになると
ジャズを弾くテクニックが自然と身についていきますので
まずは、コード進行の仕組みを理解しましょう。

そしてこの8小節のコード進行は
コードトーン編からこのコード進行を使用して色々な角度から
アドリブの基礎を磨いていく
毎回レッスンで使用する基本コード進行でもありますので
この回のレッスンは何回も復習して理解できるようにしてください。
〈枯葉のコード進行前半8小節〉
小節数 1小節 2小節 3小節 4小節 5小節 6小節 7小節 8小節
コード名 Cm7 F7 B♭M7 E♭M7 Am7(♭5) D7 Gm7 G7
ローマ数字

上記の表のローマ数字が空欄になっていると思いますので
そこに自分で記入すると仮定してみてください。

キーを把握しよう

このコード進行からキーを判断する要素は3つあります。

1.コードの横に付いている♭の数で検討をつけます。
さらに余裕がある場合はコード構成音に♭が入っているかも確認する

2.トニックコードを見つけて判断する

3.ドミナントコードを見つけて判断する

もし五線譜などで調号から判断できる場合はこれらの3つの判断を使わず
♭や♯の個数だけでキーを判断できますが
今回は五線譜なしの場合と仮定して一から検討する練習をしています。

では一つずつ吟味していきましょう。

1の♭の数でキーを判断してみましょう。

コードに♭が付いているコードは2つありますね。
♭の数が2つの場合は「B♭メジャーキー(Gマイナーキー)」でしたよね。

さらに、せっかくですのでコードの構成音も考えてみましょう。

例えば、E♭コードが仮にコード進行になかった場合
コードの横に付いている♭の数だけですと
♭の数は1つと判断してしまいます。
しかし最初のCm7コードの構成音を確認すると「C,E♭,G,B♭」と
♭が2つありますよね。

これはキーを把握するということは主音のスケールを把握するということです。
つまり
ダイアトニックコードを把握するということと同じになります。
ダイアトニックコードは主音のスケールの構成音を使って
3度ずつ積み重ねていました。
ですのでダイアトニックコードの一部であろうコードの構成音を調べることにより
主音のスケールをある程度判断することができます。

2.トニックコードと3.ドミナントコードで判断する方法

実際にコードを弾いて
落ち着く音かドミナントモーションを感じるかなどを検討するのと

仮にトニックとした場合やドミナントとした場合の
前後のコード進行をちゃんと説明できるかがポイントになります。

例えば、今回のコード進行の場合
トニックコードの候補は
コードの種類からメジャーセブンスコードは「B♭M7とE♭M7」になります。
ですのでどちらかがトニックでもう一つはサブドミナントの代理となります。

〈B♭M7をトニックとした場合〉
小節数 1小節 2小節 3小節 4小節
コード名 Cm7 F7 B♭M7 E♭M7
ローマ数字 Ⅱm7 Ⅴ7 ⅠM7 ⅣM7
〈E♭M7をトニックとした場合〉
小節数 1小節 2小節 3小節 4小節
コード名 Cm7 F7 B♭M7 E♭M7
ローマ数字 Ⅵm7 Ⅱ7 ⅤM7? ⅠM7

2つのトニックコードの候補の前後をローマ数字に置き換えると

E♭M7コードをトニックコードにするとドミナントコードⅤM7という
コードになってしまいますので候補から外れることがわかります。
B♭M7コードをトニックコードにすると
前後のコード進行は説明のつくダイアトニックコードだとわかります。
つまり、前半の4小節はB♭メジャーキーだと判断できます。

5小節目から8小節目について

たぶん4小節目からの流れでいきますと下記の表のようになると思います。

〈枯葉のコード進行前半8小節普通に分析した場合〉
小節数 1小節 2小節 3小節 4小節 5小節 6小節 7小節 8小節
コード名 Cm7 F7 B♭M7 E♭M7 Am7(♭5) D7 Gm7 G7
ローマ数字 Ⅱm7 Ⅴ7 ⅠM7 ⅣM7 Ⅶm7(♭5) Ⅲ7 Ⅵm7 Ⅵ7

もちろんこれで間違いではないのですが、
ジャズで分析する場合
Ⅵm7の部分をマイナーのトニックコードとしてⅠm7と解釈する場合もあります。
つまり、平行調の関係として捉えて下記のように置き換える場合もあります。

〈枯葉のコード進行後半4小節をマイナーキーと捉えた場合〉
小節数 1小節 2小節 3小節 4小節 5小節 6小節 7小節 8小節
コード名 Cm7 F7 B♭M7 E♭M7 Am7(♭5) D7 Gm7 G7
ローマ数字 Ⅱm7 Ⅴ7 ⅠM7 ⅣM7 Ⅱm7(♭5) Ⅴ7 Ⅰm7 Ⅰ7(Ⅴ7)
後半をマイナーキーで分析するメリットは
5小節目~7小節目をマイナーのツーファイブと分析しやすいため
平行調でマイナーキーに転調したと捉えた方が音楽理論的に説明がつきます。
また、前半はメジャーのツーファイブを練習して
後半はマイナーのツーファイブを練習すれば弾けそうだとメリハリがつきますよね。

もちろんメジャーのみで解釈する方もいますので
ここの使い分けの判断は難しい所ですが
慣れてくるとメジャーキーを基本としつつも
マイナーキーで判断した方が解釈しやすい場合は一時的にマイナーキーにして
考えるということもできるようになってきます。

6小節目と8小節目について

6小節目は解釈の仕方が2つあります

一つはセカンダリードミナントコード

もう一つは、

平行調のナチュラルマイナースケールからは
ドミナントセブンスコードは作られないため
ハーモニックマイナースケールもしくは
メロディックマイナースケールから派生する
ダイアトニックコードの和音を一時的に使用している

2つとも解釈が違いますが弾くスケールはほぼ同じになります。

セカンダリードミナントコードの場合は
マイナーコードに解決する場合は(♭9,♯9,♭13)を含んでいる
ハーモニックマイナースケールパーフェクトフィフスビロウ(ハンプ5)
かオルタードスケールを弾きます。
メジャーに解決する場合は理論的にはミクソリディアンスケール
とかが自然とされていますがオルタード等を使う場合も多々あります。

そして

ハンプ5=ハーモニックマイナースケールから派生したスケール
オルタードスケール=メロディックマイナースケールから派生したスケール

でもありますので、両方の解釈で捉えても
弾くスケールは同じになりますのでどちらでも正しいですが
セカンダリードミナントコードと捉えた方が簡単です。

ジャズは解釈の仕方が一つとは限らないのが難しい所です。
結果として最終的に再現できれば良いとされていますので
独自の解釈でジャズを弾く人が多いのもジャズの特徴的な所でもあります。

スケール自体の解説についてはスケール編で解説しますので
ここではスケールを流し読みしてください。

8小節目は確実に次の9小節目のⅡm7コードをⅠm7コードと想定した
セカンダリードミナントコードになります。
枯葉の9小節目はまた1小節目に戻るため9小節目はCm7コードになります。

セカンダリードミナントコードとは?

日本語読みで二次的ドミナントと呼ばれる通り
第二のドミナントコードとして作られたものです。
これは、ドミナントコードの性質であるドミナントモーションを
他の所でも使えるようにしようという便宜的な理由から作られました。

特徴はセカンダリードミナントコードの
次のコードをトニックコードと仮定して
ドミナントモーションすることにより一時的に転調しています。
つまりセカンダリードミナントコードの所だけ違うキーに
一時的に転調しているということです。
これを部分転調と呼んでいます。

ですのでこれから他のジャズスタンダードを分析していくうちに
この部分転調が一つの曲の中にたくさん使われているなぁと
改めて実感できると思います。

コード進行の分析の仕方、方法はなんとなく理解できましたでしょうか?

このレッスンまでがジャズに最低限必要な音楽理論の解説になります。
ですのでジャズギター基礎知識編はこれで終了となります。

本格的なコード進行の分析はジャズスタンダードコード進行分析編で
たくさん練習しますが、とりあえずカリキュラム通り
次回のレッスンはコードトーン編に進んでください。
コードトーン編からこれらの知識を活用しながらジャズギターを弾いていきます。