ケニーバレル風ソロフレーズの分析
- 2018.06.15
- ジャズ巨匠ソロフレーズ分析編
- Kenny Burrell, ケニーバレルソロフレーズ, ケニーバレルソロフレーズ分析
ジャズ巨匠ソロフレーズ分析編第2回目のレッスンは
ケニーバレルがバッキングとソロを交互に弾く
コールアンドレスポンス風のジャズブルースのフレーズを分析します。
ケニーバレルのブルージィーな響きの理由も同時に検証してみたいと思います。
■ケニーバレル風ソロフレーズ
コード進行は細分化していません。
結構、ケニーバレルは細分化しないでそのまま12小節ブルースの型で弾く場合があります。
ですのでケニーバレルのジャズブルースは初心者さんでも取り組みやすいと思います。
ケニーバレルがジャズブルースで使用するスケールとして定番のマイナーペンタと
マイナーペンタに♭5度を足したブルーススケール(ブルーノートスケール)を
中心に弾いています。
では1小節目から分析していきましょう。
m3度の音をクォーターチョーキングしている所がポイントです。
ケニーバレルでよく聴くアプローチ方法です。
2小節目の頭(ルート音)までフレーズを引っ張っています。
【5,m7,R,m3,m3】→【R】
このリズムパターンをベースにして4、6、8、11小節目をバッキングしています。
9、10小節目はソロの合間に一回、
ガイドトーンを8分音符で弾いてコード進行を明確にしてます。
単音のソロの合間にガイドトーンがこのように一回入るだけでも明確になります。
コールアンドレスポンス的なフレーズを意識しています。
B♭マイナーペンタトニックスケールを3連符で弾いて
最後4小節目の頭でオクターブ下のm3度をクォーターチョーキングして
1小節目に対してのレスポンスを意識しています。
【m3,R,m7,5,4,m3,R,m7,R】→【m3】
B♭7コードなら本来M3度を弾く所をm3度のクォーターチョーキングで
曖昧な音程になっている所がブルースらしさを感じます。
つまり、E♭7コードの上でもB♭のブルーススケールで対応しています。
【R,2,4,2,R,5,m7】
緩急をつけています。
8分音符から3連符に途中で切り替えて弾いています。
ケニーバレルが好んでよく使う方法です。
【R,5,m7,R,m7,5,4,m3,R】
ここの部分は1〜7小節目と違って単音ソロでコード進行のチェンジを意識しています。
ペンタで敢えて横の流れを重視しています。
ただし、着地する音はコードトーンになるようにしています。
またソロの合間にガイドトーンのバッキングが入りますので
コード進行を感じることができます。
仮にペンタ一発だけで何も意識しないで弾いたら
コード進行のチェンジを感じにくいと思います。
ですのでマイナーペンタ等で一発で弾く場合でコードチェンジを感じさせたい場合は
着地する音をコードトーンにしたり、合間にガイドトーンとか入れてあげると
コードチェンジを感じることができますので参考にしてみてください。
9小節目と同様にコードチェンジを感じるように弾いています。
後半のフレーズはB♭7を先取りしたフレーズです。
Cm7のm3度から5度、m7度、9度と弾いてF7の♭13度、M3度を弾いています。
ケニーバレル風ソロのまとめ
1段目と2段目は横の流れとコールアンドレスポンスを意識した
マイナーペンタ&ブルーススケールでソロを弾いて
ブルースよりな(アバウトな)弾き方をしています。
ただしジャズ的な要素としてガイドトーンでバッキングを入れて
コード進行を曖昧にはしていません。
3段目はビバップジャズよりのコードトーンのチェンジを少し意識したソロで
コードの縦のラインを考慮しています。
ケニーバレルのジャズブルースでも1段目と2段目は縦のラインはあまり意識しないで
ペンタやブルーススケールでコールアンドレスポンス的に弾いて
3段目でコードチェンジを感じる縦のラインを意識して、対比的に弾いていたりしますので
是非、ケニーバレルのジャズブルースの曲を意識して聴いてみてください。
ブルースらしさとビバップらしさの融合のバランスがかなり参考になると思います。
また、ケニーバレルがブルージィーなジャズギタリストであると
言われる理由がなんとなくわかると思います。